・・・無線電信も、鉄道も、汽船も、映画や、演劇までも、帝国主義ブルジョアジーは、それを××のために、或は好戦思想を鼓吹するために使っているのである。あらゆるものがすべて軍事上の力を増大するために集中されている。が、それは、ブルジョアジーにとって、・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・日本は、決して好戦の国ではありません。みんな、平和を待望して居ります。 私は、満洲の春を、いちど見たいと思っています。けれども、たぶん、私は満洲に行かないでしょう。満洲は、いま、とてもいそがしいのだから、風景などを見に、のこのこ出かけた・・・ 太宰治 「三月三十日」
・・・ところが、当時の情報局文化統制は、講談社、主婦之友を極端な軍国主義に動員することで好戦意識を宣伝していたから、谷川氏の平衡論はその現実のなかで、日本のより高い理性をもつ文化能力を抹殺する理論づけになった。戦争について意見をもつ文化は、少数者・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ そしてドイツやイタリーにおいて誤った政権の最も切実な犠牲が婦人大衆であったとおり、日本でも好戦的な特権支配者たちの犠牲となったのは、誰よりも先に婦人大衆であることを明瞭に語っているものです。 戦争へ召集する一枚の赤紙はその絶対命令・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・という作品が問題になったように、題材に向う態度が、戦争当時の好戦的な亢奮した雰囲気をそのままとり戻しているようなものがあらわれた。二・二六事件の秘史というものが、当時の内部関係者であったファシスト軍人によって主観的に合理化してかかれたものが・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・するという、好戦の映画であった。イタリー大使館かどこかの好意による特別試写会で、それを見た。そして「脱出」という字は深く心に刻みこまれたのだった。「日本脱出」は、考えてみれば、白鳥のなぐさみにつけられた題ばかりでなく、日本のきょうの文学・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・ 日本人は女でさえ、軍国的であり好戦的であるという前に、わたしたち今日の日本の心は、これまで日本を支配した権力と人民との関係の委細をことこまかに理解しなければならない。そして、以上のような人民の社会生活とその感情の現実を見出したとき、わ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・の精神の方向を決定し、軍事目的に添わせようとして、あらゆる機会と場面に好戦的な調子で、日本女性の勇敢さや忍耐強さなどを強調した。そして、毎日毎日、凄まじい勢いであらゆる家庭の屋根の下から引き離されて行く夫、兄、父、弟達に対する婦人たちの苦し・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫