如何に況んや
(多く、下を「むや」「をや」で結んで)まして…は言うまでもなく。「釈種は善法を修行して一の虫をだに殺さず、—人をや」〈今昔・二・二八〉
如何にせむ
1 どうしたらよかろうか。「仲頼、—◦むと思ひ惑ふに」〈宇津保・嵯峨院〉 2 どうしようもない。しかたがない。「—◦む葛 (くず) のうら吹く秋風に下葉の露の隠れなき身を」〈新古今・恋三〉
如何に申し候
呼びかける言葉。もしもし。「—、山伏たちの大勢おん通り候」〈謡・安宅〉
いかにか【如何にか】
[連語]《「か」は係助詞》 1 疑問を表す。どのようにしてか。どうしてか。「家に行きて—吾 (あ) がせむまくらづくつま屋さぶしく思ほゆべしも」〈万・七九五〉 2 反語を表す。どうして…か。「けふの日に—しかむ筑波嶺に昔の人の来けむその日も」〈万・一七五四〉
いかにして【如何にして】
[連語]《副詞「いかに」+動詞「す」(サ変)の連用形+接続助詞「て」》 1 手段・原因・理由についての疑問を表す。どうやって。「—再興すべきか」 2 願望を表す。どうにかして。何としてでも。「独りのみ思ふはくるし—同じ心に人を教へむ」〈後撰・恋二〉
いかにぞ【如何にぞ】
[連語]《「ぞ」は係助詞》 1 状態・原因などについての疑問、または質問の意を表す。どうして。「そことなき恨みぞ常に思ほゆる—人のあらずなる頃」〈風雅・恋四〉 2 (次に来るべき「ある」を省略して)どういう状態であるか。どうだ。「—。月は見給ふや」〈和泉式部日記〉
いかにぞや【如何にぞや】
[連語]《「ぞ」「や」は係助詞》 1 状態・理由についての疑問を表す。どうであろうか。どうしてだろうか。「—。宮は夜や更かし給ひし」〈源・蛍〉 2 非難・不満の意を表す。さて、どうだろうか、感心できない。「—見ゆる詞のなさ、歌ごとに由あるさま、不可思議なりき」〈後鳥羽院御口伝〉
いかにも【如何にも】
[連語]《「も」は係助詞》 1 程度・状態のはなはだしいことを表す。どう考えても。全く。実に。「—残念そうだ」 2 相手の考えを強く肯定する意を表す。なるほど。確かに。「—、おっしゃるとおりです」「—、私が本人です」 3 まさしく。さも。「—君らしい」「—本物らしくみえる」 4 (あとに打消しの語を伴って)どうしても。けっして。「東国北国のいくさ—しづまらず」〈平家・七〉 5 困難であるが実現させたいという気持ちを表す。なんとかして。ぜひ。「—大事を残さず伝へて平家を討たん」〈謡・鞍馬天狗〉 6 状態・手段などを特に限定せず、漠然と認める気持ちを表す。どのようにでも。「ただ—のたまはするままに」〈和泉式部日記〉 7 (「いかにもなる」の形で)死ぬことの遠回しな言い方。「われ—なりなん後は」〈平家・六〉
いかにやいかに【如何にや如何に】
[連語] 1 心配や不安を抱きながら問いかける意を表す。いったいどんなだろうか。どうしたものだろうか。「—とばかり、行く末の心細さは、やる方なきものから」〈紫式部日記〉 2 相手に強い調子で呼びかける語。「北の方、袖にすがって、—しばし、とて引きとどめ給ふに」〈平家・一一〉