・・・あにを熱愛していたぼくは、マルキシズムの理論的影響失せなかったぼくは、直に共鳴して、鎌倉の別荘を売ったぼくの学費を盗みだして兄に渡し、自分も学内にR・Sを作りました。関タッチイはそのメンバーであり、彼の下宿はアジトでした。その頃、自殺を企て・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ それらの急進的な若い男女があふれるような活力と感受性とを傾けて、学内の活動などに吸収されて行った有様は、めざましいものであったろう。ところが彼らが研究会やなにかでイデオロギー的に獲得した輝かしい未来の社会、両性関係の見とり図と、現実の・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・大学の自由は失われ、学内の統一を乱すという口実で、若い進歩的な哲学者たちは大学から追放されはじめた。政府御用の神学者シェリング等が筆頭となって、考え研究する能力ある人々を追いはらった。カールはこの状況のもとで大学教授を思いすてた。文筆人とし・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・月謝値上げによって学問の機会をうばわれる一方に、理事会案は学問と学内の自主をそこなう危険をもってあらわれた。学問の自由と日本の学問の自主性のために全国の高等学校、専門学校、大学、一一八校の学生たちは去る六月二十六日を期して学生ストライキに入・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・各専門学校、大学などで学内自治の運動が起っているのは当然である。学生達は自分達の中から委員を選んで食糧の困難、宿舎の問題、資材難を解決しようとしている。学校当局は、丁度幣原内閣が、増産対策も、食糧対策も現実には持っていなくて自然、働く者の生・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・大学が同期で、学内運動の先頭に立っていた秀才であり、万事目に立つ男だったのが、つかまった。これ迄、何年間ものがれていたのが不思議であった。つかまって、拘置所に入れられて、少くとも五年か七年帰れまいと本人さえ云っていたのに、急に出た。その男の・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・も本郷名物の一つであり、大学正門の銀杏並木も、学内の現実を、初夏はその若葉で、秋にはその黄葉で美化して見せる名物である。 本郷にはもう一つわたしにとって忘れることのできない名所がある。それは本郷区役所と並んでそびえていた本富士警察署の留・・・ 宮本百合子 「本郷の名物」
・・・更に一八八四年に公表された大学規定は大学生のこれまで持っていた学内自治権を奪い「学生生活のあらゆる微細な点まで干渉する学監、副監督、守衛等によって監視され、更に警察の監視の下に置かれるようになった」のである。この事情が、デレンコフの収支を次・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫