・・・今日のような学校にてはどこの学校にても、Mission School を始めとしてどこの官立学校にても、われわれの思想を伝えるといっても実際伝えることはできない。それゆえ学校事業は独立事業としてはずいぶん難い事業であります。しかしながら文学・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・高等学校へはいっただけでもう何か偉い人間だと思いこんでいるらしいのがばかばかしかった。官立第三高等学校第六十期生などと名刺に印刷している奴を見て、あほらしいより情けなかった。 入学して一月も経たぬうちに理由もなく応援団の者に撲られた。記・・・ 織田作之助 「雨」
・・・勲章なら、すぐに十マルクは御用立てます。官立典物所なんぞへお持ちになったって、あそこではせいぜい六マルクしかよこしません。なかなかずるうございますから。」 ところがおれの受け取ったのは、勲章でもなければ、大臣の辞令でもない。例の襟である・・・ 著:ディモフオシップ 訳:森鴎外 「襟」
・・・ただに実際に心配なきのみならず、学校の官立なりしものを私立に変ずるときは、学校の当局者は必ず私有の心地して、百事自然に質素勤倹の風を生じ、旧慣に比して大いに費用を減ずべきはむろん、あるいはこれを減ぜざれば、旧時同様の資金をもってさらに新たに・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・ ゆえに本書の如きは民間一個人の著書にして、その信不信をばまったく天下の公論に任じ、各人自発の信心をもってこれを読ましむるは、なお可なりといえども、いやしくも政府の撰に係るものを定めて教科書となし、官立・公立の中学校・師範学校等に用うるは・・・ 福沢諭吉 「読倫理教科書」
・・・例えば、政府の施政が気に喰わなんだり、親達の干渉をうるさがったり、無暗に自由々々と絶叫したり――まあすべての調子がこんな風であったから、無論官立の学校も虫が好かん。処へ、語学校が廃されて商業学校の語学部になる。それも僅かの間で、語学部もなく・・・ 二葉亭四迷 「予が半生の懺悔」
・・・画家が画家としてはたしてどれだけの力量をもっているかということはあらためて考えられなければならないけれども、かりに、その点でマイナスがあるとして、それというのもこれまで婦人全体の生活があまり差別的で、官立の美術学校でさえも女子の学生は入れな・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・私の卒業した官立の女学校は、所謂品のよい、出来のよい画一にはめこまれていて、個性のつよさを愛さなかったから、当時の女学生として、力量は無くはなかったのに、社会的に能力を示す人は非常に少い。あとになってからは、大分変化したが。一級の中でも、女・・・ 宮本百合子 「女の学校」
・・・ 今議会ですべての公定価格を七割値上げした政府は官立専門学校大学の月謝を三倍の値上げに決定した。月謝値上げはアルバイトによってやっと学問をつづけているこんにちの日本の学生にとっては、学問の自由をうばわれることにひとしい。男女学生は月謝値・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・おや、生態ばやりで、こんなジャーナリスティックな模倣があらわれていると半ば苦笑の心持もあってその本を手にとってみたら、それはどこかの場当りなブック・メイカアがこしらえているものではなくて、官立大学の学生主事をしている人が、そういう職名もちゃ・・・ 宮本百合子 「生態の流行」
出典:青空文庫