・・・その困難な実践をとおし、次代の建設との関連において、恋愛・結婚観も徐々に高められて今日に至っていることを私たちは見落してはならぬと思う。 階級的な男女の結合というと、すぐコロンタイの「赤い恋」が話題にのぼったのは、かれこれ七年くらい前の・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・出版綱領実践委員会が集って日本の出版の浄化のために幾たびか協議しました。その過程で非常に注目すべきことがあった。エログロ出版物を駆逐するために、警察力を使えということ、新しい取締法律をつくれという意見が伝えられました。しかし、猥褻罪を取締る・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・という国内戦時代のコムソモールたちの感情、若さから誤謬は犯しながら雄々しく実践でそれを清算する働きぶりなどを歴史的に見た劇を上演している。ハバロフスクへ潜行運動にベザイスが、絵を描いた貨車にのっかって行く。その中途から頼まれてのせてやった娘・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・また他の一面では、これも日本に独特な治安維持が化物の眼を見はって、日本におこった能動精神、新しいヒューマニズム、反ファッシズム文化擁護の運動が、実践的な力をもたないようにと監視しつづけている。それらの事情に加えて、文化の擁護、新しいヒューマ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・ 階級闘争の実践の過程で階級的基準をぬいた善行というものはあり得ない。まず第一にこれがアレゴリーの性質とブツかる。 第二に、アレゴリーは、静的だ。静思的だ。それだから、たとえそれが反抗的な要素によってつくられていても、直接に、大胆に・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・主的発言をした上できょう日本の新聞に溢れている戦争挑発の記事をよむべきで、しかもそれは全世界の青年男女の発言である、平和要求の発言を自身に向ってもはっきりとした上で、キリストへの信仰をもつものならその実践について語るのが正直な人間的自己をも・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・だが、それを実践したい心は溢れているとして、全体の人数の何割の若い職業婦人たちが、それぞれの勤め先で結婚と分娩とを公然の条件として認められているであろうか。共稼ぎの率は殖えている。でも、女にとって職業か家庭かという苦しい疑問を常に抱かせて来・・・ 宮本百合子 「異性の間の友情」
・・・、創意性などを計量し、「労作にむすびついた教育、具体的実践に結合した」教育こそ小学教育の基礎であると感じる。 たとえば「窓ふき」という集団的労作を子供らがみずから分業に組織したことを驚異した佐田が、そこから生産労働の分業について子供らに・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・手をあげて擲るのは自分の女房だけであるが、それはつまり彼のもっている女性観の雄弁な実践と云える。インガに対してだって、心服なぞはしていない。女の工場管理者に心服なんかするのは労働者の男の恥だ、そう思っているのであった。 夜、工場クラブで・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・たっぷりした実践力のあることと、理論的発展の可能をもつこと、この二つは、欠くことのできない新しい活動家の資質である。 立候補に決定して、わずか十日あまりであった大町米子さんが二万五千票をえたことを、私たちはうれしくおもうし、当然ともおも・・・ 宮本百合子 「大町米子さんのこと」
出典:青空文庫