かけい-やぼく【家鶏野鶩】
古いものを嫌い遠ざけて、珍しく新しいものを好むたとえ。また、身近なものや良いものを嫌い、遠くにあるものや悪いものを好むたとえ。また、良い筆跡と悪い筆跡のたとえ。家に飼っているにわとりを嫌って、野生のあひるを好む意。▽「野鶩」は野生のあひる。「家鶏」は身近なもの、良いもの、古いもののたとえ。「野鶩」は遠くのよそにあるもの、悪いもの、新しいもののたとえ。「家鶏を厭いとい(賤いやしみ)、野鶩を愛す」の略。また「野鶩」は「野雉やち」(野生のきじ)ともいう。
- 出典
- 『太平御覧たいへいぎょらん』九一八に引く『晋書しんじょ』
- 類語
- 家鶏野雉かけいやち
- 故事
- 中国晋しん代の庾翼ゆよくははじめ王羲之おうぎしと名を等しくするほどの書の大家であったが、のち、王羲之の名声が大いに上がり、人々は次第に王羲之の書を学ぶようになった。そこで庾翼が友人に送った手紙の中で、自分を家鶏に王羲之を野雉になぞらえ、世の人々が家鶏を卑しみ野雉を愛しているのを嘆いた故事から。