宿引き(やどひき)
の例文・使い方・用例・文例(2)
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始めてこの浜へ来たのは春も山吹の花が垣根に散る夕であった。浜へ汽船が着いても宿引きの人は来ぬ。独り荷物をかついで魚臭い漁師町を通り抜け、教わった通り防波堤に沿うて二町ばかりの宿の裏門を、やっとくぐった時、朧の門脇に捨てた貝・・・
寺田寅彦
「嵐」
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・・・降りて見ると、改札口につきものの嫌な宿引きさえ一人もいない。それは心持よいが、タクシーもなく、激しい速力で昨夜から、長崎へ、長崎へと、駛りつづけて来、緊張した神経が突然無風帯に落ちこんだような緩慢さを感じた。ゆっくり問答した結果、私共は二台・・・
宮本百合子
「長崎の印象」
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