[動ラ五(四)]
1 ある人・物やある所に向かって近づく。近寄る。「彼女のそばに―・る」「たき火の近くに―・る」
2 1か所に集まる。一緒になる。「親類が―・って相談する」「三人―・れば文殊の知恵」
3 ある所へ向かう途中で、他の所を訪れる。立ち寄る。「出社前に得意先に―・る」「帰りに飲みに―・る」
4 片方の端へ近づく。また、一方の側にかたよる。「部屋の隅に―・る」「西に少し―・った地域」
5 (「倚る」「凭る」とも書く)もたれかかる。「縁側の柱に―・って庭を見る」
6 数が加わる。多くなる。重なる。「しわが―・る」「年が―・る」
7 考えがそこに至りつく。思い及ぶ。「思いも―・らない大事件」
8 相撲で、組んだ体勢で相手を押し進む。「腰を落として―・る」
9 相場で、立ち会いの最初の取引が成立する。「五円高で―・る」
10 気持ちが傾く。
「今更に何をか思はむうちなびき心は君に―・りにしものを」〈万・五〇五〉
11 なびき従う。服する。
「人の言に―・りて、いかなる名をくたさまし」〈源・夕霧〉
12 味方になる。
「あなたに―・りて、ことさらに負けさせむとしけるを」〈枕・一四三〉
13 寄進される。寄付される。
「かかる所に庄など―・りぬれば」〈宇治拾遺・八〉
14 神霊や物の怪などが乗り移る。
「寄り人は今ぞ―・り来る」〈謡・葵上〉
出典:青空文庫
・・・揉んで、甚太夫の側へ寄ると、「一そ恩地の屋敷の外へ参って居りまし・・・ 芥川竜之介「或敵打の話」
・・・もとや口もとは、側へ寄るまでもなくよく見えた。そうしてそれはどう・・・ 芥川竜之介「西郷隆盛」
・・・と農場の若い者などが寄ると戯談を言い合った。女房と言うのは体のが・・・ 有島武郎「カインの末裔」