日本への核持ち込みや在日米軍の有事出撃などをめぐって日米間で密約が交わされていたとされる問題。鳩山由紀夫内閣の外務大臣岡田克也の指示により、平成21年(2009)9月から平成22年(2010)3月にかけて、外務省の内部調査チームおよび有識者委員会による調査・検証作業が行われた。対象となったのは、(1)昭和35年(1960)1月の安保条約改定時の核持ち込み(→核持ち込み密約1)、(2)同じく安保条約改定時の朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動(→朝鮮半島有事密約)、(3)昭和47年(1972)の沖縄返還時の有事の際の核持ち込み(→沖縄返還密約1)、(4)同じく原状回復補償費の肩代わり(→沖縄返還密約2)、に関する四つの密約。外務省に保存されていた日米安保関係のファイル2694冊、沖縄返還関係のファイル571冊、在米大使館に存在するファイル約400冊が精査されたほか、外部有識者委員会が独自に収集した資料、関係者へのインタビューなどをもとに検証が行われた。外務省の調査チームは、安保条約改定時の在日米軍の有事出撃についてのみ密約があったと認定。これに対して有識者委員会は、在日米軍の有事出撃について密約と断定したほか、安保条約改定時の核持ち込みと沖縄返還時の原状回復補償費肩代わりについては広義の密約が存在したと判断。沖縄返還時の核持ち込みについては、必ずしも密約とは言えないと結論づけた。同委員会は、事実の解明に必要な文書が発見されなかったり、文書の重要部分に不自然な欠落があったことなども指摘している。