平成15年(2003)に日本の小沢正直が提唱した不確定性原理を修正する式。1927年にハイゼンベルクが提唱した不確定性原理の式は、Aqを測定による粒子の位置の誤差、Bpを位置の測定に伴う粒子の運動量の乱れとするとプランク定数を使い、AqBp≧h/4πと表される。小沢はここに測定前の位置と運動量の量子ゆらぎCqとCpを導入し、AqBp+CqBp+CpAq≧h/4πという式を提唱。測定値の誤差と測定による乱れを量子ゆらぎから区別したもので、これを小沢の不等式という。平成24年(2012)、長谷川祐司らが不確定性関係にある中性子のスピンの二つの成分を測定し、一方の測定誤差を零に近づけた際、もう一方の乱れは無限大に発散せず、ある有限の値に留まり、なおかつハイゼンベルクの式で表される左辺の誤差と乱れの積AqBpが右辺のh/4πより小さくなることが示された。このことにより小沢の不等式が実験的に正しいことが明らかになった。