・・・ちょっと外側から見ると恐ろしく窮屈そうに見えるような天地に居て、そうして実は、最も自由に天馬のごとく飛翔しているような人も稀にはあるようであり、一方ではまた、最も自由な大海に住みながら、求めて一塊の岩礁に膠着して常に不自由を喞つ人も稀にはあ・・・ 寺田寅彦 「学問の自由」
・・・は乾、乾出せる岩礁か。万々 「メム」は沼またラグーン。物部 「ポロペッ」大河。韮生 「ニナラ」高原。また「ニ」樹「オロ」豊富。夜須 「ヤシ」網を引く。別府 「ペッポ」小河。別役 「ペッチャ」河「クッ」咽喉。またチャム・・・ 寺田寅彦 「土佐の地名」
・・・ もう一つは浦戸港の入り口に近いある岩礁を決して破壊してはいけない、これを取ると港口が埋没すると教えたことである。しかるに明治年間ある知事の時代に、たぶん机の上の学問しか知らないいわゆる技師の建言によってであろう、この礁が汽船の出入りの・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
・・・ あのイーハトーヴォの岩礁の多い奇麗な海岸へ行って今ごろありもしない卵をさがせというのはこれは慰労休暇のつもりなのだ。それほどわたくしが所長にもみんなにも働いていると思われていたのか、ありがたいありがたいと心の中で雀躍しました。すると所・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
出典:青空文庫