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・・・「国家の干城たる軍人」が悪いのか、母と妹とが悪いのか、今更いうべき問題でもないが、ただ一の動かすべからざる事実あり曰く、娘を持ちし親々は、それが華族でも、富豪でも、官吏でも、商人でも、皆な悉く軍人を聟に持ちたいという熱望を持ていたのである。・・・
国木田独歩
「酒中日記」
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・・・今天下の士君子、もっぱら世事に鞅掌し、干城の業を事とするも、あるいは止むをえざるに出ずるといえども、おのずからその所長所好なからざるをえず。ゆえにかの士君子も、天与の自由を得て、その素志を施すものというべし。また我が党の士、幽窓の下におりて・・・
福沢諭吉
「中元祝酒の記」