・・・第七項にその国の内政に干渉する権能を国連に与えてはならないという条項が厳存している。わたしたち日本の婦人は、どういう戦争にも日本人民として「使用」されることを断る権利をもっている。日本と米国そのものが人民の平和より何より先に戦略的な地点とし・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
・・・と云われながら、垣の外に理由のない干渉をする一人の鼻をくじいて行くまだ十五のポーッとした子の気持を想うと、私まで胸がスウスウする様だ。 何にも、その子が私の大切な弟だからと云うのではないけれ共。 後で聞けば小屋のまとまりのつ・・・ 宮本百合子 「二十三番地」
・・・二年目の今日では、独伊両国の干渉戦と化し、本質的に最も深刻な歴史的衝突の姿を示していることは周知である。殆どすべての学者、芸術家がマドリッド政府の側に在り、有名なセロの名手、私たちに馴染ふかいパブロ・カザルスが全財産を寄附したり、画家ピカソ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・だから、中国に対する日本の後進国帝国主義の侵略の結果は、その潮のさしひきの間に三国干渉というような微妙な表現で、当時の各列強間に中国の部分的植民地化のきっかけをもたらした。日露戦争のとき、旅順口の攻撃は主として英国の海軍によって行われたもの・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・夫がまたその普通の女と違う点に安心して干渉しない。実際の事情はそうなのに、若い盛りを恐ろしい孤独で暮して来たはつ子がすべて勘違いし、男達が自分を愛するものと思う。自分の肉体が特別なので、そう云う経験をはつ子は独特なもののように告白せずにはい・・・ 宮本百合子 「帆」
・・・更に一八八四年に公表された大学規定は大学生のこれまで持っていた学内自治権を奪い「学生生活のあらゆる微細な点まで干渉する学監、副監督、守衛等によって監視され、更に警察の監視の下に置かれるようになった」のである。この事情が、デレンコフの収支を次・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・団結の力はどんなに強いものかということをブルジョア・地主は知っているからこそ、たとえば文化サークルのように何でもないものまで当局は、ただそれを中心に大衆が集るというだけで、もうとやかく干渉するのです。過去の経験を、現在あなたが『働く婦人』の・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
・・・ちょうどそのころに今川氏に内訌が起こり、外からの干渉をも受けそうになっていたのを、この浪人が政治的手腕によってたくみに解決し、その功によって愛鷹山南麓の高国寺城を預かることになった。これがきっかけとなって、北条早雲の関東制覇の仕事が始まった・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・三国干渉は朧ろながらも子供心を刺戟した。露国の圧迫に対しては、おそらく楠公が足利氏に対して持ったであろうような、また父が徳川氏に対して持ったであろうような、そういう心持ちを持つことができた。すなわち我々にとっては皇室は日本帝国と同義であった・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫