・・・多きは七十両、少なきは十五両乃至二十両、平均一人につき二十五両に過ぎず。二十人にて一月五百両なり。官の費用少くして事務よく整うものというべし。 明治五年申四月学校出版の表によるに、中小学校の生徒一万五千八百九十二人、男女の割合およそ十と・・・ 福沢諭吉 「京都学校の記」
・・・ 然りといえども世の中の事はすべて平均をもって成るものなれば、この平均を得るときは、何事にてもほとんど害悪なきものなり。古来、日本の教を道徳と技芸との両様に区別して、その釣合いかんを尋ぬれば、甲重くして乙軽しといわざるをえず。すなわち徳・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
遺言状一 余死せば朝日新聞社より多少の涙金渡るべし一 此金を受取りたる時は年齢に拘らず平均に六人の家族に頭割りにすべし例せば社より六百円渡りたる時は頭割にして一人の所得百円となる計算也一 此分配法ニ・・・ 二葉亭四迷 「遺言状・遺族善後策」
・・・そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」「先生、あれを今すぐ噴かせられないでしょうか。」「それはできるだろう。けれども、その仕事に行ったもののうち、最後の一人はどうしても逃げら・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・つまり各農戸の人員を数えず、バラビンスキー地方一帯、牛一匹一年六・六ツェントネル平均として協定標準が定っていた。各農家別にすると、一頭持 四・六二頭持 六・〇三頭持 七・五 ところが今年は当地方平均一頭宛・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・全国平均僅か二割七分七厘の棄権しかなかった。そして、意外に多勢の婦人立候補者が当選した。婦人立候補者の四割八分ほどは当選して、二十八歳から六十六歳まで、三十九名の婦人代議士が、新しい明日に向って選び出されたのである。しかも、これらの婦人代議・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・そこに十四五から、七八くらいの娘さんが一人か二人で働いている。平均一日五里以上を歩く。そこに働いている若い少女労働者は、殆んどみんな国民学校を出ただけの娘さんである。紡績業は明治の初め日本の資本主義発展の基礎になって、少女の安い労働でもって・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・一、その後の税率は、集団農場の全収入を集団農場員の頭割にして、その額がその地方の個人経営の農民の平均収入より少なかった場合は免除。多かったら、個人経営の農民の払う税の三割から六割減の率で払う。一、集団農場員が冬の間に入用な薪を切り出・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ところが、五ヵ年計画が四年で完成される程のテンポで進捗するにつれ、企業内の生産手段は電化その他で高まり、平均労働時間がグッと減った。現在、ソヴェト同盟に千三百六十八万四千人の勤労者が活動している。そのうち、半数はもう七時間労働でやっている。・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・正長、永享の土一揆は彼の三十歳近いころの出来事であり、嘉吉の土一揆、民衆の強要による一国平均の沙汰は、彼の三十九歳の時のことで、民衆の運動は彼の熟知していたところであるが、彼にとってはそれはただ悲しむべき秩序の破壊にすぎなかったであろう。今・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫