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デパートの内部は、いつも春のようでした。そこには、いろいろの香りがあり、いい音色がきかれ、そして、らんの花など咲いていたからです。 いつも快活で、そして、また独りぼっちに自分を感じた年子は、しばらく、柔らかな腰掛けにからだを投げて・・・
小川未明
「青い星の国へ」
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・・・ 牧場には十八九頭の牝牛と一匹の勢の強い種牛が居るほか二年子が三匹と当年子が一つ居てかなり賑って居る。 その中の四匹の子牛のお守りをするのだ。 体が小形なので子牛でもふざけて走りだすと繩を握って居る小僧はひきずられる。 私が・・・
宮本百合子
「旅へ出て」