・・・著者が十二年間の獄中生活から解放されてから、『敗北の文学』『人民の文学』が出版された。著者が序文でいっているように「敗北の文学」は一九二九年に二十三歳でかかれたものであり、『レーニン主義文学闘争への道』に収められていた。『人民の文学』はその・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・ 小泉信三氏の『共産主義批判の常識』の序文をみても、どこか安定をさがしている文化的な欲求にむすびつくモメントがはっきりあらわれています。小泉氏は、公正な学問的立場からの批判という点を力説しているし、読む人も「公平な」知識を得ようとして読・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・を序文とともによんで感じることだし、ジェーン・オウスティンやブロンテ姉妹の生涯の実際を見ても感じられる。二十世紀の初頭、イギリスでヴィクトリア女皇の治世時代、いわゆるヴィクトーリアンの風俗が、女らしさの点でどんなに窮屈滑稽、そして女にとって・・・ 宮本百合子 「新しい船出」
・・・けれども、水野仙子氏の遺著の序文に書かれている文章を見ても、作者が婦人の生活力の高揚ということについては、唯心的に内面的にのみ重点を置いて見ていたことが感じられる。私には、作者有島武郎が自身の内にあった時代的な矛盾によって、一見非凡であって・・・ 宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
・・・これらの詩によってあらわされている人生の感じかたは、わたしが成功しまた成功しない小説の底を貫いて響かせようと欲しているその感じかたです。序文に「世帯じみる」という言葉がつかわれていますけれども、もしその言葉を使うとすればそれは全く新しい内容・・・ 宮本百合子 「鉛筆の詩人へ」
・・・原名の序文できわめて示唆に富んだ数言を述べている。「この書物を書く間に、私たちは之をどんな人たちに読んでもらうべきかについてかなり論じ合い、またわかり易くすることについて苦心しました。読者は物理学や数学の具体的な知識を何ももっていなくとも、・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
『集団行進』をいただき、大変に興味ふかく、得るところも多く拝見しました。巻頭の序文によると、この集は最近一年間において短歌をつくる労働者作家が非常にふえたことを一つの特徴として示しているとのことです。 この一年と云えば私・・・ 宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
・・・のことは、一九二九年に彼がパリでかいた「チャタレイ夫人の恋人」の序文に、まざまざとあらわれている。序文は、バーナード・ショウの社会主義のように常識的であり、H・G・ウェルズの文化史のように健全であり、もっともである。ローレンスはイギリスの常・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・その中国版のケーテの作品集には、ケーテの国際的な女友達の一人であるアグネス・スメドレイの序文がつけられた。スメドレイは進みゆく中国の真の友である。そしてアグネス・スメドレイの自伝風な小説「女一人大地を行く」の中に描かれているアメリカの庶民階・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・ 序文で、作者はこの小説は小説ではなくて、研究報告であると言っている。それ故、これが小説でなくてもそれは作者もことわっていることだと言いきってしまうことは出来ないだろう。小説というものの真髄は昔っから型にはまった所謂小説らしさにあるので・・・ 宮本百合子 「「結婚の生態」」
出典:青空文庫