・・・ 二月以来のモラトリアムは、経済生活を建て直す実効はなかった。特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ 小豆島の村にも八十八ヵ所のお札所があり、そこの第一番のお札所を建て直すとき、やっぱりこういう風に、屋根瓦一枚十銭、銅板一円と勧進したそうである。お金を出したひとは、みんな自分の名が書かれている瓦や銅で、寺が建立されると素朴に信じている・・・ 宮本百合子 「上林からの手紙」
・・・今日、人民生活を建て直すために、民主主義はどうしても確立されなければならない。世界的諸関係の中に日本をおき、公の観点から洞察し、心から祖国を愛する者ならば、日本の民主化が如何に重大であるか、千万の言葉にまさる重さを理解しなければならない。・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・その虚無的な心持をどこへ、どう建て直すべきだろうか。人民に絶対服従を強いて来たこれまでの抑圧は、彼に正当な人民の権利の自覚に立戻って自分の破滅を救う方面に順序だてて物を考えさせる自主的な判断力は与えていない。義理も人情もない扱いを受けた、と・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫