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・・・陛下の御実子であったなら、陛下は御考があったかも知れぬ。皇后陛下は実に聡明恐れ入った御方である。「浅しとてせけばあふるゝ川水の心や民の心なるらむ」。陛下の御歌は実に為政者の金誡である。「浅しとてせけばあふるゝ」せけばあふるる、実にその通りで・・・
徳冨蘆花
「謀叛論(草稿)」
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・・・「エエエエもう、まだようやっと御十六に御なりなんでございますが、御考も御有りになり学問も身にしみてあそばして御いでですから御姉さまより御苦労が多くていらっしゃるんでございますよ。御歌なり、御手なり、音楽なり、御手のものでございますよ。こ・・・
宮本百合子
「錦木」