・・・盆の十四日が百姓平次郎に鉈をふるわせる厄日であり、室三次の命の綱である馬が軍隊に徴発され、その八十円を肥料屋と高利貸に役場で押えられた室三次の女房は絶望して発狂した等々。それらを部落の一般経済事情の分析とともに、僕なるプロレタリア作家とは組・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 強制徴発をされては間尺に合わないと家族の食うだけの麦しか蒔かない、やっと食うだけのジャガイモしか植えない。麻なぞ作って骨折るだけ損だと麻畑は荒廃にまかされた。 ソヴェトの工業はどこから必要な四七パーセントの国内的原料をとって来たら・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・それは徴発ではあるまいな。」 麻生は五分刈の頭を掻いた。「恐れ入ります。ついみんなが徴発徴発と申すもんでござりますから、ああいうことを申しましてお叱を受けました。」「それでも貴様はあれきり、支那人の物を取らんようになったから感心・・・ 森鴎外 「鶏」
出典:青空文庫