・・・ 気の利く、なるたけ奉公人根性のない、気の置けないものが必用である。 さきなんかは少しは千世子の望むのに近い女である。かなり気も利くし、気が置けないと云う点はこの上なしであった。 あけっぱなしで居ながら一度二度、世帯持になっただ・・・ 宮本百合子 「蛋白石」
・・・ 何にもそう追求する必用もないし又只友達でなみなみにつき合って居る分ならなどと千世子は思って居た。 その晩千世子は両親の容貌の美醜によって子供の性質に幾分かに変化を与えられると云う事が必ず有りそうで仕様がないと話した。「ほん・・・ 宮本百合子 「千世子(二)」
・・・それ丈頭を無駄に用ったわけだと今になって一寸口惜しいけれども又、相当に考える事も必用だからと自分でなぐさめて居る。こないだ書いた「魔女」の原稿は書き出しから気にくわず見るのもいやになったんで、一寸おしかったけれども焼いてしまった。も一度よく・・・ 宮本百合子 「日記」
出典:青空文庫