《上代は上二段活用。平安時代になって「偲 (しの) ぶ」と混同し、四段にも活用》
[動バ五(四)]
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1 つらいことをがまんする。じっとこらえる。耐える。「恥を—・んで申し上げます」「不便を—・ぶ」
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2 自分の存在や行いを、人に気付かれないようにする。外から見えないようにして身を置く。隠れる。「人目を—・んで通う」「—・ぶ恋」「世を—・ぶ」「物陰に—・ぶ」
[動バ上二]
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1 (現代語に残存したものとして、ふつう「…にしのびず」「…にしのびない」など打消しの語を伴った形で用いる)救ってやりたい、捨てるに惜しい、といった気持ちを現したいのを押さえる。こらえる。「正視するに—・びず」「たっての願いを断るのは—・びないが」→しのびない
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2 1に同じ。
「人目多み目こそ—・ぶれすくなくも心のうちにわが思はなくに」〈万・二九一一〉
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3 2に同じ。
「惟光の朝臣、例の—・ぶる道はいつとなくいろひつかうまつる人なれば」〈源・松風〉