・・・激しい彼への思慕を持ちながら、それを語ることによりそれを追懐することによって恢復しつつ新らしい生活を歩み出します。 友達が出来ましょう、話し相手なしでは――彼のことを話す相手なしでは――いられません。そして、最も自然な、在り得べき想像と・・・ 宮本百合子 「偶感一語」
・・・ワシントン市在留駐米日本大使の知らぬこれは強烈な感覚的思慕だ。北緯四十*度から**度の間に弦に張られた島 日本が、敏感に西からの風、東からの風に震え反応しつつ、猶断然ユニークなソーユ○人間がこの世に生きる人としての価値は、その人にど・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・当時の文学傾向がそうであったと云うばかりでなく、また、藤村自身が二十歳を越したばかりの多感な時代にあったというばかりでなく、彼の処女詩集『若菜集』につづく四冊の詩集が、激しい自然への思慕、ロマンティックな自然への没入を示している心理の遠く深・・・ 宮本百合子 「藤村の文学にうつる自然」
・・・それを発揚した時代への思慕は、女の服飾の流行に桃山時代好みとして再現されている。国威というものの普通解釈されている内容によって、それを或る尊厳、確信ある出処進退という風に理解すると、今回のオリンピックに関しては勿論、四年後のためにされている・・・ 宮本百合子 「日本の秋色」
・・・ 其は勿論、思慕と呼ばれるべき感情であろう。然し、何か追想とか、思いとか云う、優雅な、同時に或距離を持った言葉では云い表わされない力をもったものである。 丁度、二人がしっくりと抱き合って暮す時の感じを、全体的な、ホールサムな満ち足り・・・ 宮本百合子 「無題(三)」
出典:青空文庫