㋐快くない。
「このもとの女—・しと思へるけしきもなくて」〈伊勢・二三〉
㋑不都合だ。
㋒容姿が悪い。みにくい。
「よき女といへど、ひとりあるは、—・しき二人に劣りたるものなれば」〈宇津保・吹上上〉
㋓貧しい。
「いかにしてあらむ。—・しうてやあらむ、よくてやあらむ」〈大和・一四八〉
「下衆 (げす) 女のなり—・しきが子負ひたる」〈枕・一二二〉
㋕不適当だ。ふさわしくない。
「かかる御ありきし給ふ、いと—・しきことなり」〈大和・二〉
㋖(技能などが)へただ。まずい。
「中納言、—・しく探ればなきなり、と腹立ちて」〈竹取〉
㋗(自然状況が)険悪だ。
「けふ、風雲のけしき、はなはだ—・し」〈土佐〉
出典:青空文庫
・・・れば、晴上がった雨も悪し、ほかほかとした陽気も悪し、虹も悪い、と・・・ 泉鏡花「紅玉」
・・・分は立たないし、跋も悪しで、あっちゃアお仲さんにまかしておいて、・・・ 泉鏡花「清心庵」
・・・たもんだから、どうぞ悪しからず。」「どう致しまして、憚様。」 と・・・ 泉鏡花「湯女の魂」