[形ク]《他より劣っている、普通以下である、の意で、一定の水準以下であるさまを表す》
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1 程度が低い。質が悪い。よくない。
「いと—・かりしかども、…この花を折りてまうで来たるなり」〈竹取〉
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2 下手である。拙 (つたな) い。
「この度は—・く舞うたり」〈宇治拾遺・一〉
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3 見劣りがする。みっともない。醜い。
「火桶の火も、白き灰がちになりて—・し」〈枕・一〉
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4 勢力や財力が衰えている。貧しい。
「その主も、もとより勢ひなく、—・き人の、無徳なる司にて」〈宇津保・嵯峨院〉
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5 ふさわしくない。不相応である。不適切である。
「行法も、法の字を清みて言ふ、—・し。濁りて言ふ」〈徒然・一六〇〉
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6 不吉である。
「御宿世の—・くおはしましけるを、世に口惜しきことに申し思へり」〈栄花・玉の村菊〉
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7 たちがよくない。悪質である。
「呪詛 (じゅそ) しけるほどに、幾程なく—・き病つきて」〈沙石集・一〉
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8 食べ物が傷んでいる。鮮度が落ちている。→わる(悪)い
「瓜を取り出でたりけるが、—・くなりて」〈著聞集・一八〉