・・・ 次第に母の感情悪化する。――風呂のこと。 ∥ かすかな嫉妬、不快さ Aの態度の自信ナサ ∥ 自分の其等に対する態度の子供らしさ 一、安積 忘れた筋書。Aノートを入れてよこさず。 ・・・ 宮本百合子 「「伸子」創作メモ(一)」
・・・ 今日の若い勤労者とインテリゲンツィアとの日常の苦痛は、職業が彼らの人間の発展のために豊富化のために全く役に立たないものであるという自覚及び一方にそういう不満は持ちながら、生活事情の一般的悪化のために従前よりも一層その職業に縛りつけられ・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・交通事情は目に見えて悪化し、これまでより長い時間をかけてやっと帰宅して、これまでよりもっともっと苦労した燃料でやっと炊事をして、さてようようほっとしようとしたときは、停電だったり、たった二十燭のあかりだったりして、つぎものをするのも不便だし・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・ 村民の経済事情が悪化し剥脱されてゆく過程、市会議員の利権あさり、官僚的冷血、自然発生的に高まりやがて無気力な怨嗟にかわってゆく村民の心持の推移などを、作者は恐らく実地にあたって調査した上で書いているのであろう。龍三や安江などの性格化、・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ゴーリキイの肺病はこれらの激しい活動の間に悪化して来た。アメリカからの帰途イタリーのカプリ島により当分そこで静養することにし、一九一三年ロマノフ王家三百年記念の大赦によってロシアにかえるまで八年間カプリに止った。 ところで、非常に一般化・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・同志今野がそのまま死ねば三日か四日のうちにそれほど病が悪化したとでもいいのがれる魂胆であったのでしょう。 同志今野は三回目の大手術をうけ、まだ生きるか死ぬかの境にいる。どんなことをしてもわたしたちの力でこの忠実な同志の命を奪いかえさねば・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
・・・そのような主観をもって生きている婦人が、一つの職業を中途ですてて又次の職業へと転々するうち、いつか、その傍から見れば持続性なくも見える経歴や年齢の関係により、益々失業率が増大し労働条件が悪化する社会では次第に自分の教養を活かすような勤め口を・・・ 宮本百合子 「見落されている急所」
・・・ これらの活動でゴーリキイの肺病が悪化した。この旅行の帰途ゴーリキイは政治的移民として、イタリーのカプリ島に行き、一九一三年ロマノフ王家三百年記念大赦令が出るまで八年間カプリに止ることになった。 イタリーでゴーリキイはレーニンによっ・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・ 今日、社会の機構が我々の純情をすらりと活かしきれないものとなって来ていることは、生活の根本的不安をかもす経済事情の悪化を見ても、明瞭です。 娘、愛人、妻として生きる女の今日の一生は種々の不如意に制約され、一人の女が自分のもつすべて・・・ 宮本百合子 「私も一人の女として」
出典:青空文庫