・・・このベンデルが、永年の夢として抱いているリオ・デジャネイロ市へ永住するための資金を稼ごうとして、数年来あらゆる悪辣な秘密手段をつかってこっそり金をためている「ヘリクレス」コンツェルンの会計係コレイコから、その金を捲き上げようとする。その過程・・・ 宮本百合子 「音楽の民族性と諷刺」
・・・文化活動者として私をわれわれの同志から、大衆から切りはなそうとする悪辣きわまるデマです。敵は、私を二年も三年も監禁する理由を発見し得なかったので、今度は体は自由でも仕事のやってゆけぬようにしようとする。 検束されていた間、それから六月二・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
・・・なかけ引きをさせ、大衆自身が内部的に統一されない気分を持つようにと悪辣な手段をつかっている。「党生活者」は敵階級のかような新手な戦術を暴露し、プロレタリアートの下からの統一戦線の重要性を示し、反動政策の新段階を暴露している。「党生活者」を読・・・ 宮本百合子 「小説の読みどころ」
・・・ 湧出道を奪うためにはあらゆる悪辣なことを平気でやりあった。従って汲出櫓一台当りその頃は二年間で二十五万留ぐらいの成績しか挙げられなかった。現在では一台が二ヵ月で八万留。二年にすれば凡そ九十六万留を掛取するようになったのだそうである。・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ソヴェトの社会主義国家とそれをつくる勤労人民の生活をうちこわそうとする帝国主義の悪辣さに対する階級的憎悪で燃えた。 ソヴェトを守れ! プロレタリアートの生産と文化を守れ! 召集は、モスクワの国際革命作家書記局から、世界のプロレタリア・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・ブロックをつくってそろそろと、しかし確実に孤立した小資本の企業を食い殺す大資本企業家の悪辣な術策がバルザックを破滅させた。フランス全国の同業者等は、この唐突に現れた資本も少ない若年の一出版業者が、疑なく時流に投じるであろう出版計画をもってい・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・逆の形で東京裁判に便乗して、ひと握りの被告を犠牲にすることによって、現存するファシズムの力を守ろうとしている悪辣な権力にわたしたちは決して二度と自分たちの運命を支配させてはならないのである。 正義のかかしの役割を負わされている点で、・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・ けれども、本当に自主的な自覚のある勤労者として、今の日本の、民主化とは皮肉悪辣に逆行している出版事情を観察した場合、働くものの鋭い見識と実力の発揮は、単純に、経営者対被雇傭者の経済問題だけに局限されているはずのものなのだろうか。自分の・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・そういう人々の無智から儲ける聖画売の商売、又、珍らしい古代の作品を売りに来る者をちょろまかして儲ける悪辣なやり口もゴーリキイの心を苦しめた。 聖画屋の小僧が本を読む。そのことをぺてん師の鑑定家の爺と番頭とがあくどく揶揄した。「さて、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・というものは、それをキッカケに階級的に目ざめた大衆をかたっぱしから投獄するよう、わざわざ制定されてあるものです。悪辣きわまるその「わな」とも闘い抜いて私は八十日の後自由をとり戻したのですが、みなさん忘れてならないことは現在十数人のわれわれの・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
出典:青空文庫