かなし・い【悲しい／^▽哀しい／^▽愛しい】

の解説

［形］［文］かな・し［シク］

1. １ 心が痛んで泣けてくるような気持ちである。嘆いても嘆ききれぬ気持ちだ。「友が死んで―・い」⇔うれしい。

1. ２ 人に1のような気持ちを起こさせる物事のさま。「―・い知らせ」「―・いメロディー」

1. ３ （愛しい）

   1. ㋐心に染みていとしい。かわいくてならない。

      「柵 (くへ) ごしに麦食 (は) む小馬のはつはつに相見し児 (こ) らしあやに―・しも」〈万・三五三七〉

   2. ㋑心に染みておもしろい。強く心を引かれる。

      「あしひきの八つ峰 (を) の雉 (きぎし) 鳴きとよむ朝明 (あさけ) の霞 (かすみ) 見れば―・しも」〈万・四一四九〉

   3. ㋒すばらしい。みごとである。

      「―・しくせられたりとて、見あさみけるとなん」〈著聞集・一七〉

1. ４

   1. ㋐しゃくにさわるさま。悔しい。

      「物も覚えぬ腐り女に、―・しう言はれたる」〈宇治拾遺・七〉

   2. ㋑我慢できないほど恐ろしい。つらい。

      「先立つだにも―・しきぞかし」〈平家・三〉

   3. ㋒ひどく貧しい。

      「釜の下へたく物さへあらず。さても―・しき年の暮れや」〈浮・胸算用・三〉

[派生]かなしがる［動ラ五］かなしげ［形動］かなしさ［名］かなしみ［名］

[補説]古くは、いとしい、かわいい、すばらしい、嘆かわしい、心が痛むなど、物事に感じて切に心の動くさまに広く使われたが、近代では、主に心の痛む意に用いられるようになった。

関連語

• もの悲しい(ものがなしい)
• うら悲しい(うらがなしい)
• もの憂い(ものうい)

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