・・・ また今の学者を見るに、維新以来の官費生徒はこれを別にし、天保年間より、漢学にても洋学にても学問に志して、今日国の用をなす者は、たいがい皆私費をもって私塾に入り、人民の学制によって成業したる者多し。今日においても官学校の生徒と私学校の生・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・そもそも文字の意味を広くしていえば、政治もまた学問中の一課にして、政治家は必ず学者より出で、学校は政談家を生ずるの田圃なれども、学校の業成るの日において、その成業の人物が社会の人事にあたるに及びては、おのおのその赴くところを異にせざるをえず・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・ たとえば今ここに一種の学校を設けて、まったく経世の学を禁じ、政治・経済の書を禁じ、また歴史をも禁じて、生徒を養うこと数年の後は必ず成業にいたらん。その時において、生徒の所得は理学・徳学にして、純然たる良民たる者ならん。然るに、この良民・・・ 福沢諭吉 「経世の学、また講究すべし」
出典:青空文庫