・・・三文文士がこの字で幼稚な読者をごまかし、説教壇からこの字を叫んで戦争を煽動し、最も軽薄な愛人たちが、彼等のさまざまなモメントに、愛を囁いて、一人一人男や女をだましています。 愛という字は、こんなきたならしい扱いをうけていていいでしょうか・・・ 宮本百合子 「愛」
・・・が、渡辺氏は、そういう理論づけを我からつきくずして、まるでその口元が目にみえるような煽動の語調で、一言一言ゆっくりと、ソヴェトの社会主義なんかは「インチキ」といわれました。どんな客観的理由も説明せず、三十年間の社会主義社会建設の歴史をもって・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・軍部の煽動にのって若い女性が、明日にかくされている生活の破滅に向ってヒロイズムでごまかされないように、戦争的美名にかくされた資本主義の搾取の現実を見とおすように、荒くれたかぶった世間の気風のうちに、ひとすじの人間らしさと、その発展のための努・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・ たださえ集団農場化に反対な富農が女房までソヴェト役員にとられたと勘違いした揚句、村の反革命的分子を煽動して指導者を石で打殺す結果になったとしか思われない。 カターエフの誤謬は階級的闘争を大衆的に表現せず、個人の心理描写で説明しよう・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・==総同盟系の反革命的労働者を煽動して、一定の公共物を襲撃させる。すると、直ちにそれを共産党の蜂起とデマり、鎮圧の名目で軍隊を繰り出し、市街戦で革命的労働者、前衛を虐殺し、それをきっかけに戒厳令をも布く。そのような計画が予定のうちにあるキッ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ すべての権力をソヴェトへ 餓えた農民と労働者は不決断な臨時政府がついにブルジョアの手先で彼らのものでないことを理解し、兵士は塹壕から、フロックコートを着てやって来る社会民主主義の煽動者をぼいこくった。ケレンスキーが、星条旗のひるが・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・民同、共産党の煽動によるものではなく、吉田内閣や三田村氏の陰謀によるものでもありません。たとえ命はあっても獄中で老いさらばえて、あの時真実をいっておけばよかったと思うでしょうから、ここに真実を申しのべました。」竹内の陳述は僅か五分ですんだ。・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・日本を中心として、アメリカ、中国、フィリッピン、濠州諸国の勤労大衆が一斉にプロレタリア文化の催しをやろう、そして、それぞれの国のブルジョア・地主の政府がめぐらす帝国主義戦争への悪煽動を蹴とばして、プロレタリア・農民の固い握手をとり交わそうと・・・ 宮本百合子 「日本プロレタリア文化連盟『働く婦人』を守れ!」
・・・すべての新聞、ラジオ、出版物は嘘と分っている戦争煽動に動員された。そして十二月八日に太平洋戦争に突入した。十二月八日の払暁、戦争に対して反対の見解をもっていると思われていた千余名の人々が日本中で検挙された。私は十二月九日理由不明で駒込署に留・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ こういうふうに、国際的に侵略戦争の煽動者であり、ファシズム思想の組織者であったと認められた人びとが、わたしたちの生活にたちまじってきたことについて、どう判断していいのでしょう。わたしは思います。このことは日本のわたしたちの民主主義への・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
出典:青空文庫