・・・出発のはじめから、保守の重いかげとたたかいつつある日本民主化の途上で自分たちの血と涙とをとおして平和を要望し、そのための世界的協力を切望している日本の婦人大衆の誠意をここに披瀝いたします。日本の目ざめた婦人大衆は、自分たちの真心からのよびか・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・彼はその責苦を手記の中に披瀝して、恐らく彼と同じ苦痛と疑惑に陥っているであろう「人々の役に立つよう、現して見よう」と思ったのであった。しかし、この作品は、当時まだジイドが宗教や家庭の日常習慣に抑制されていたのと、当時の象徴派の文学的傾向に従・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ 身の上相談では、わが身の上の苦しさを訴える女のひとの立場と、それに解答を与える女のひと達の立場とが、相対的に今日おかれている日本の女の社会性の内容、水準等を、おのずから読者の前に披瀝しているのである。読物として各紙が飽きずそれを掲載し・・・ 宮本百合子 「女性の教養と新聞」
「吾輩は猫である」が明治三十八年に書かれてから、「明暗」が未完成のままのこされた大正五年まで、十二年ほどの間に漱石の文学的活動は横溢した。円熟した内面生活の全幅がこの期間に披瀝されたと思う。同時に、作品のどれもが、人生と芸術・・・ 宮本百合子 「漱石の「行人」について」
・・・ブルジョア作家、自由思想家などもその衝撃を披瀝し、三・四月の文芸時評はことごとく何かの形で、同志小林の受難にふれたのである。しかしながら、それらのブルジョア作家、批評家の大部分が、同志小林多喜二の業績を追慕しながらも、自分の属す階級の制約性・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・その長所と欠点とにおいて、著者は全く自己の真心を披瀝しており、読者の人間性の皮膚にじかにふれんとする情熱を示している。その意味で、解説的、入門的な本の書きかたにおける新たな親しみ深さ、人柄の流露のタイプを提出していると思う。 序文による・・・ 宮本百合子 「新島繁著『社会運動思想史』書評」
・・・ 日頃芝居のことについて不勉強である者が、遠慮のないもの言いをすることを恐縮に思いますが、以上のことは最近私の心に深く訴えとなってあるので忌憚ない披瀝をいたしました。〔一九三七年四月〕・・・ 宮本百合子 「一つの感想」
・・・この社会ファシストの代表は、満鉄が不明の活動を援助しているというようなさかさまごとを臆面なく披瀝して軍事活動を合理化している。又「不幸な犠牲者群」として、朝鮮農民避難者に対し感傷的な辞句をならべている。「ただ無言のあいさつ」をする彼に対して・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・とが出来ず、急進的なインテリゲンツィアを中心とする『新生活』という雑誌を編輯してレーニンに対するブルジョア世界のデマゴギーに対して闘いつつも、一方彼の政策に対して必ずしも一致はしていない自身の見解をも披瀝していたから、このイタリー行はさまざ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・ お手紙は感情を主として披瀝されていて、現実の事情はわかりかねましたが、時がたつにつれて、新しい愛を求める心持があることは誰にも思いやられることだと思います。そして戦争からうけた傷をいやされて、新しい生活の出発をすることの出来た人が一人・・・ 宮本百合子 「未亡人への返事」
出典:青空文庫