・・・ 私が心をうごかされたのは、その久美子さんの聰い観察力をもってしても、父である本間氏と母である本間夫人との間に交わされた前述の短い会話のやりとりの間に、如何に深刻な新しい歴史の担い手の社会的内容が暗示されているかを見やぶっておられない事・・・ 宮本百合子 「短い感想」
・・・例えば今日常に保守的或は反動的な役割を持っている文部省でさえも創設されたばかりには、本当に日本の人民の間に文字を普及させ、常識を広め、輿論の担い手となり得る人民の文化を導き出そうという熱心な意図をもっていて、先ず『言海』という字引を出したり・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・以来三十有余年の間にゴーリキイの作品は世界の人々に読まれ、また次から次へと新しく成長して文化の担い手となってくる若い人々にこの社会の発展の可能性を信ずる心と、屈辱とたたかってゆく勇気とを与えているのであった。 ゴーリキイがイタリーからモ・・・ 宮本百合子 「私の会ったゴーリキイ」
出典:青空文庫