・・・ごく皮相にとりあえずそれらの母なる妻たちに授産場を、と思う人は多いが、その材料、その建物、そしてミシンはどこから来るというのだろう。食糧事情は、封建の「家」のふところからさえ、急に過剰人口となったそれらの母子を追いはらおうと欲する。こういう・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ ゴーゴリ的会の内情主事 古知事知事の年俸五千円今はあっちこっちで七千円近くとる、竹内 女房子は故郷に置き下田の男妾、実践を見当にして居る。授産所の村井ともう一人の女を関係して居る。そのことを、男・・・ 宮本百合子 「一九二七年春より」
・・・ 積極的に見れば、女性の労働、女囚取扱法、婦人陪審官制度の問題に関し、又は、幼児保護法、授産院その他、我国には恥しい程貧弱な社会事業も、内部から働らきかける真剣な力さえあれば、決して今のまま不活溌な状態にとどまっていることはないでしょう・・・ 宮本百合子 「法律的独立人格の承認」
・・・ 人民のための人民共和の政府がもたらされなければ、結局、婦人のために保育所一つ、授産所一つ作られないことが、わかって来たのは必然であると思う。モラトリアムと生活費値上りの恐ろしいばかりの食いちがいによって、人民生活は極限へ追いつめられよ・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫