・・・とでも訳する所であろうが、とにかくフランス人らしい巧妙な措辞である。「誅戮」「討伐」「征伐」「征討」などと、武張ったどこかの国のジャーナリストなら書きたい所であろう。それを「平和化」と云ったところはやはりフランス人である。 こんなことを・・・ 寺田寅彦 「雑記帳より(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・それは単に語彙中のあるもののみならず、その文法や措辞法に、東西を結びつける連鎖のようなものを認める、と思ったからである。 最近に至って「言語」に対する自分の好奇心を急激な加速度で増長せしめるに至った経路はあるいは一部の読者に興味があるか・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・実に巧妙な措辞であると思う。この知事のような為政者は今でも捜せばいくらでも見つかりそうな気がするのである。 少なくも、むやみに扁桃腺を抜きたがる医者は今でもいくらもいるであろう。 十八 近年の統計によると警視・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
・・・という和歌の措辞法を巧に転化させた結びで技巧の老巧さをも示しているのであるが、「春やいづこ」にしろ、やはり『若菜集』に集められた詩と同じく、自然は作者の主観的な感懐の対象とされている。移りゆき、過ぎゆく自然の姿をいたむ心が抽象的にうたわれて・・・ 宮本百合子 「藤村の文学にうつる自然」
・・・美妙のどったんばったん的措辞も幾分その余波にや○雲中語に、紫琴という女流作家の名が見える。誰であろう。よい作品はなかったらしいが。○鷸掻、三人冗語、雲中語をとびとびによみ、明治文学史のよいのが一日も早く出ることを希う。・・・ 宮本百合子 「無題(六)」
出典:青空文庫