・・・(一九一七、六、一三、鶏鳴を聞きつつ擱筆 有島武郎 「カインの末裔」
・・・ 結語 科学と文学という題のもとに考察さるべき項目はなお多数であろうが、まずこのへんで擱筆して余は他の機会に譲ることとする。 緒論で断わってあるとおり、以上の所説は、特殊な歴史と環境とをもった一私人の一私見に過ぎ・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・ この問題に関しては述ぶべき事はこれに尽きないが、与えられた紙幅が既に尽きたから、これで擱筆する外はない。執筆の動機はただ我邦学術の健全なる発達に対する熱望の外には何物もない。ただ生来の不文のために我学界に礼を失するがごとき点があるかも・・・ 寺田寅彦 「学位について」
この小説は、大正十三年の九月から十五年の九月までの間に、一部分ずつ改造に掲載されたものだ。 書き始めてから、終るまでの間に足掛三年経って居る。其故、擱筆当時に見てさえも、最初の部分は、旧作の感があった。其後、全体を一纏・・・ 宮本百合子 「序(『伸子』)」
出典:青空文庫