・・・ ところで、或る一つの工場で管理者は労働者で、どう働くべきかと云うことは腹から知っている正直者だとしても、その下に働く専門技術家、またはトラストの支配人達は、多く知識階級出である場合が多い。昔は自分達の行く劇場にさえ入れなかったような労・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・工場の技師、関係トラストの支配人、古参な職長一味が何とかして、ソヴェト権力の認めた労働者の工場管理権を、自分達の手で、ブルジョアへ奪還したいと思う。反革命的策動が組織された。労働者出の工場管理者を、いろいろなことで工場内の反革命分子がいじめ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・そして先頃赤しおで真珠をやられたとき東京の支配人に打った電文は「アスカラテンコウツカエ」でした由。テンコウは砂糖のうちでやすい、赤っぽいてんこ砂糖です。一風あるでしょう。息子さんはラスキンの研究家で、元オーキという婦人服やのあったところへ茶・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ そのほか川が近かったら働く婦人たちよ、十分水で遊びなさい! 休みの日にはよく休み、散歩をしなさい! 朝夕体操もしなければいけない。 監督に、要求しなさい! 支配人に、要求しろ! そして当局に強く要求しろ! 職場・・・ 宮本百合子 「ソヴェト映画物語」
・・・ こないだまでの世の中とは何という違いだろう! 支配人の顔なんぞ見たこともない工場の職場を、今日は同じ労働者出身の工場監督が親しく笑ったり喋ったりしながら、仲間として指導して歩きまわる。工場委員会は自分らのものだ。もとは、夜会服を着た男や女・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・川島忠之助は正金銀行の支配人として活躍したし、東海散士、柴四朗は農商務次官、代議士、大阪毎日新聞初代社長、外務参事官、閔妃事件で下獄したこともある。馬場辰猪は、明治四年頃ロンドンで法律を学び、自由党解散の前年「天賦人権論」を著し、獄中生活の・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
出典:青空文庫