・・・書中の認識や、引例等にも、多少の改変を要するものあるは勿論であります。こうした批評眼を有しないものならば、また、読書子の資格のなきものです。 雑誌に載った時は、読みたいとも思わなかったのが、単行本となって、あらわれて、はじめて一本を・・・ 小川未明 「書を愛して書を持たず」
・・・彼らの境遇や性質が、もしひとたび改変せられて、これらの事情から解脱するか、あるいはこれらの事情を圧倒するにいたるべき他の有力なる事情が出来するときには、死はなんでもなくなるのである。ただに死を恐怖しないのみでなく、あるいは恋のために、あるい・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・来れば其種類は限りもないが、要するに死其者の恐怖すべきではなくて、多くは其個個が有せる迷信・貪欲・愚癡・妄執・愛着の念を払い得難き性質・境遇等に原因するのである、故に見よ、彼等の境遇や性質が若し一たび改変せられて、此等の事情から解脱するか、・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・るしくなればなるほど、わたしたちは、そのめまいを起させるような現象の底にある社会的動力をつかんで全体を理解しようと欲するし、その動力の本質を、よりよいものへ、より人間らしい方向へ働き得るものに発展させ改変させようと欲している。現代のすべての・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・ソヴェトが一九一七年から十二年の星霜を経て、その深刻な根本的改変と建設との成果に立って、社会主義生産の段階に到達し、生産の全面と文化の全部門から利潤追求の企業性を排除しえたとき、国内的に勤労階級と有識人階級との対立、貧農と富農との対立が消え・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
出典:青空文庫