・・・数理に関する彼の所得は学校の教程などとは無関係に驚くべき速度で増大した。十五歳の時にはもう大学に入れるだけの実力があるという事を係りの教師が宣言した。 しかし中等学校を卒業しないうちに学校生活が一時中断するようになったというのは、彼の家・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・そういうわけで、もちろん、論文でもなく教程でもなく、全く思いつくままの随筆である。文学者の文学論、文学観はいくらでもあるが、科学者の文学観は比較的少数なので、いわゆる他山の石の石くずぐらいにはなるかもしれないというのが、自分の自分への申し訳・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・正常の教程課目として教わったことで後年直接そのままに役に立ったことは比較的わずかで教程以外に直接先生方から受けた実例教育の外には自分の勝手で自修したことだけが骨身に沁みて生涯の指導原理になっているような気がする。しかし、これは思い違いである・・・ 寺田寅彦 「科学に志す人へ」
・・・ 現在の小学校教育の教程中に火災の事がどれだけの程度に取り扱われているかということについては自分はまだ全く何も知らない。しかしどれほど立派な教程があっても、それの効果が今日われわれの眼前にあまり明白に現われていないことだけは確かな事実で・・・ 寺田寅彦 「火事教育」
・・・育にも理科の課程がかなり豊富にあるようであるから、それがよく呑み込めていれば、それだけでも一通りはかなり役に立つべきはずであるが、実際それがそうでないのは、教える方と教わる方と両方に罪があるであろう。教程や教授法にも改良の余地が沢山にあるよ・・・ 寺田寅彦 「家庭の人へ」
・・・たとえば小学校の理科の教程といったようなものを見ても、その膳立てが立派であると同時に料理の種がすっかり限定されてしまって、生徒はそれだけを食って満足するが、他に食物のあることをいっさい忘却してしまう。そうして、今度ひとりで旅に出ると宿屋の食・・・ 寺田寅彦 「さるかに合戦と桃太郎」
・・・この教程は今考えてみると偶然とは言いながら実によくできていたと思う。この教程の内容を今ここで分析するとすれば、おそらく数十枚の原稿紙を要するであろう。 それはとにかく、子供の時代に受けたいろいろの有益な「美的教育」のかたわらにこうした「・・・ 寺田寅彦 「蒸発皿」
・・・にでもありそうなことや、「英国風紳士道教程」の一つのチャプターといったようなもののあるのは面白い。第十二、三十六、三十七、五十六、七十三、百七等の諸段はその例である。いずれも平凡と云えば平凡のことであるが、この平凡事を忘れているために大きな・・・ 寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
・・・住宅建築の教程にねずみに関する一章のないはずはあるまいと思う。 大工を呼んでねずみの穴の吟味をさせるのもおっくうであるのみならずその効果が疑わしい。結局やはり最も平凡な方法で駆除を計るほかはなかった。 殺鼠剤がいちばん有効だという事・・・ 寺田寅彦 「ねずみと猫」
・・・同じ理由から俳句を研究することは日本人を研究することであり、俳句を修業することは日本人らしい日本人になるために、必要でないまでも最も有効な教程であり方法である。これは一見誇大な言明のようであるが実は必ずしも過言でないことはこの言葉の意味を深・・・ 寺田寅彦 「俳句の精神」
出典:青空文庫