・・・がりまた下がりつつあるか、その速度が恒同であるか、変化しているとすればどう変化しているか、そういう変化の時間的割合いかんによって感覚は多種多様になるであろう、それでもしも温度に関する感覚が若干の変数の数値で代表されうるとすれば、これらと気温・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・そうしてまた、加速度の数値を五けた六けたまでも詳しく云為する場合には、実測加速度から規準加速度を導出するためにいろいろさまざまの「補正」を要するのである。 これと同じように、新聞記事のうそも一種の「補正」と見れば見られないこともないよう・・・ 寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
・・・もっとも中にはXYのいずれか一方が百点に近くて他の一方の数値が小さいような例もあるにはあったが、大勢から見れば両者の間には統計的相関があるといってもたいして不都合はなかったように記憶している。 これはきわめて当たりまえのようにも思われる・・・ 寺田寅彦 「数学と語学」
・・・を示すべき数値を定め、その値の比較的大なるものについて、さらに最初の仮定の再吟味を遂行し、その結果に基づいて修正された新たな仮定を設け、逐次かくのごとくしていわゆる漸近的近似法によって進行すれば、少なくも現在よりは、いくらか科学的に研究を進・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・この問題に的確に答えるためには、勿論まず毒薬の種類を仮定した上で、その極量を推定し、また一人が一日に飲む水の量や、井戸水の平均全量や、市中の井戸の総数や、そういうものの概略な数値を知らなければならない。しかし、いわゆる科学的常識というものか・・・ 寺田寅彦 「流言蜚語」
・・・これらの発見の重大な意義はと言えば、それらのものの精密なる数値的決定より先にそれらのものが「在る」ということを確立することである。もっともそのためには精密な計画と行き届いた考察なしには手を出せないことは言うまでもないことであるが、その際得る・・・ 寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
出典:青空文庫