・・・そういう傾向はたしかにある。文典の巻末にある作文や翻訳の例題と同格な応用数学的論文もなくはない。 近ごろ Heinrich Hackmann : Der Zusammenhang zwischen Schrift und Kultur ・・・ 寺田寅彦 「数学と語学」
・・・パーレー万国史、クヮッケンボス文典などという書名を連ねた紙片に過ぎなかったが、それが恐ろしく幼い野心を燃え立たせた。いよいよパーレーを買いに行ったとき本屋の番頭に「たいそうお進みでございますねえ」といわれてひどくうれしがったものである。その・・・ 寺田寅彦 「読書の今昔」
・・・其趣は西洋の文典書中に実名詞の種類を分けて男性女性中性の名あるが如く、往古不文時代の遺習にして固より深き意味あるに非ず。左れば男子は活溌にして身体強大なるが故に陽の部に入り、女子は静にして小弱なるが故に陰なりなど言う理窟もあらんかなれども、・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・理学初歩 価一分一朱義塾読本文典 価一分和英辞書 価三両二歩地理書 ┌一部に付窮理書 ┤弐両より歴史 └四両まで 右にて初学より一年半の間は不自由なし。このほかに・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾新議」
・・・オランダ語を教えて遣ろうと云われるので、早くから少しずつ習った。文典と云うものを読む。それに前後編があって、前編は語を説明し、後編は文を説明してある。それを読んでいた時字書を貸して貰った。蘭和対訳の二冊物で、大きい厚い和本である。それを引っ・・・ 森鴎外 「サフラン」
出典:青空文庫