・・・ 文芸春秋に、「男性への爆弾」という記事があり、山川菊栄、森田たま、河崎なつの諸名流女史が夫々執筆していられる。河崎なつ氏をのぞいて、他の二人、特に山川菊栄女史の文章は面白い。女史は「先ず手近から」男を観察し、女中の留守には自分の洗・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・と日本化された翻訳で『文芸春秋』に発表されている。このなかに彼にとって、日本にとって悲劇的な一節がある。皇太子が、教室で、将来何になりたいかという質問に答えて「私は天皇になる」と答えたという前後のくだりである。私は天皇になる――十五歳の少年・・・ 宮本百合子 「ジャーナリズムの航路」
・・・は全く異った戦場からの身をもっての経験の報告として一般に甚大な感銘を与えたものであった。この作家は、他の何人かの作家と共に応召して戦野に赴いた一人であり、応召までの文学的経験もあって、その「糞尿譚」は文芸春秋社の芥川賞に当選した。「糞尿譚」・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 五月の『文芸春秋』に、谷崎潤一郎さんが、上海見聞記を書いておられる。なかに、ホテルについて、マジェスティックが東洋第一といいながら、ボルト酒のよいのを持たない、「長崎のジャパン・ホテルにだって一九一一年のブルガンディー酒があるくら・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
・・・〔一〕昨年末の作品発表禁止がとけそうな気配があるといって文芸春秋が小説を依頼した。丁度宮本の弟が中国に出征させられたときであった。私は「その年」という小説を書いた。文芸春秋社で内閲に出した。そしたら各行毎に赤線が引かれて戻ってきた。線のひか・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・すべての雑誌の表紙は刺戟的なグラビア版で赤や黒のフラッシュのついた文字で彩られているようなのであるけれども、そうかといって単純にキングと文芸春秋とは全く等しい傾向をもって、戦時特輯をしているかと云えば、そうでないことは自明である。 ここ・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
『文芸春秋』四月号にのった文芸時評に対するあなたの御感想を拝見しました。別な作者の小説「希望館」についての感想を敷衍しつつ、嘗て或る時期に、実際運動をしていた人々が文学の仕事に移って来て今日示している或る種の文学活動に向って・・・ 宮本百合子 「不必要な誠実論」
・・・佐藤春夫氏は『文芸春秋』の社会時評に「諸共に禽獣よりも悲し」といい、ジャーナリズムが社会的効果に対して無責任であることを指摘しているが、もし現在のジャーナリズムにそのような弱いところがなかったならば同氏によって『文芸』に推薦されたと仄聞する・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
『文芸春秋』の新年号に、作家ばかりの座談会という記事がのせられている。河豚礼讚、文芸雑誌の今昔などというところから、次第に様々の話題へ展開しているこの記事は、特に最後の部分、二・二六と大震災当時の心境についてそれぞれの出席者・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・ この頃真理運動ということを云い出して、都下の中途半端な学生などの間に或る人気をあつめはじめている友松円諦という坊さんは、文芸春秋の新年号に「凶作地の人々に与う」という題で一つの意見を公にしている。 友松は、東北地方の飢饉が今年には・・・ 宮本百合子 「村からの娘」
出典:青空文庫