・・・は大概現世祈祷を事とする堕落僧の言を無批判に頂戴し、将門が乱を起しても護摩を焚いて祈り伏せるつもりでいた位であるし、感情の絃は蜘蛛の糸ほどに細くなっていたので、あらゆる妄信にへばりついて、そして虚礼と文飾と淫乱とに辛くも活きていたのである。・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・横光利一・小林秀雄というような人々の悲惨は、いかに文飾したとしても、自身を、日本の民主的文学の伝統に固定的に対置させた反措定としての存在以上に発展せしめる人間的能力をもっていないという点です。そのために動的な歴史の過程にあっては真実の反措定・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・の謳歌によって文飾されたファシズム文学を流布した。女詩人深尾須磨子はイタリーへ行って、ムッソリーニとファシズムの讚歌を歌った。私は目白の家で殆ど毎日巣鴨へ面会にゆきながら活ぱつに執筆した。表現の許される限りで、戦争が生活を破壊して、小学校の・・・ 宮本百合子 「年譜」
出典:青空文庫