・・・晩餐を食べましたのは、市外の公園の料理店でございました。ちょうど宅はベルリンに二週間ほど滞留しなくてはならない用事がありましたので、わたくしはひとりでその宴会へ参りました。夜なかが過ぎて一時になりましたころ、わたくしは雑談をいたしているのが・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「辻馬車」
・・・そのころ私はナンキン町のシナ料理をわりによく知っていたので、そこへ案内しようかと思ったが、しかし文人画を見せてもらう交渉をまだしていないことがさすがに気にかかり、馬車道の近くの日盛楼という西洋料理屋へはいって、昼食をあつらえるとすぐ三渓園へ・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫