にちべいあんぜんほしょうじょうやく【日米安全保障条約】
昭和26年(1951)9月、サンフランシスコ講和条約調印と同時に日米間で締結された条約。日本の安全を保障するため、米軍の日本駐留などを定めた。昭和35年(1960)新条約に改定され、軍事行動に関して両国の事前協議・相互協力義務などが新たに加えられた。期限は10年で、それ以後は通告後1年で廃棄できる。昭和45年(1970)から自動延長されている。正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。安保条約。 [補説]全10条からなり、第5条と第6条が重要。第5条各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。第6条日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
にちべいぎょうせいきょうてい【日米行政協定】
日米安全保障条約第三条に基づき、昭和27年(1952)に締結された在日米軍に関する細目協定。施設の提供、出入国・裁判管轄権などについて詳細に規定した。同35年、日米地位協定として継承。
にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく【日米修好通商条約】
安政5年(1858)江戸幕府と米国との間で結ばれた通商条約。日米和親条約で既に開かれていた箱館のほか、神奈川・長崎・新潟・兵庫の開港(ただし開港となっていた下田は鎖港となる)、公使の交換、江戸・大坂の開市、開港場の外国人居留地の設定、自由貿易の原則を認めたが、領事裁判権を規定し、関税自主権を否定するなど、日本側に不利な不平等条約であった。その後、オランダ・ロシア・イギリス・フランスとも同等の条約を調印。→安政の仮条約
にちべいそうごぼうえいえんじょきょうてい【日米相互防衛援助協定】
《「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」の通称》⇒MDA協定
にちべいちいきょうてい【日米地位協定】
《「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」の通称》日米安全保障条約に基づいて、在日米軍に施設や用地を提供する方法や、日本国内での米軍人の権利などについて定めた協定。昭和35年(1960)締結。SOFA (ソファー) (Japan Status of Forces Agreement)。→日米行政協定 [補説]公務外・米軍施設外での米軍人の犯罪行為については日本に優先的な裁判権があるとされているが、被疑者である米軍人の身柄は日本の検察が起訴をした後に引き渡されると規定されているため、日本側で十分な捜査ができないとの問題点が指摘されている。これに対して外務省は、米国とNATOの地域協定では日本の場合と同様に起訴時、ドイツとは原則として判決執行時、韓国とは凶悪犯罪について起訴時、その他の犯罪は判決執行時に身柄を引き渡すと規定されていることを挙げて、日米地位協定の規定は米軍受入国の中で有利なものとなっていると説明している。また、平成20年(2008)には、米国で公開された公文書に、日本政府が在日米軍に対して、重要案件以外の裁判権を放棄する密約を結んでいたことを示す記述が発見された。
にちべいつうしょうこうかいじょうやく【日米通商航海条約】
日本・米国間の通商および航海に関する条約。 明治27年(1894)幕末の不平等条約を改正して成立した条約。治外法権が撤廃された。 明治44年(1911)調印の新条約。関税自主権が完全に回復したが、昭和14年(1939)日本の中国侵略に抗議してアメリカは破棄を通告。 サンフランシスコ講和条約発効に伴い、昭和28年(1953)調印された現行条約。
にちべいわしんじょうやく【日米和親条約】
安政元年(1854)神奈川で、江戸幕府と米国使節ペリーとの間に結ばれた条約。米国船の薪水・食料などの買い入れを認め、下田・箱館の開港、下田に領事を置くことなどが規定された。神奈川条約。
にちべいあんぜんほしょうきょうぎいいんかい【日米安全保障協議委員会】
日米安保条約に基づいて、安全保障の基盤をなす問題について検討する閣僚級の会合。日本の外務大臣・防衛大臣、米国の国務長官・国防長官の4閣僚によって構成され、両国政府間の相互理解の促進や安全保障分野における協力関係の強化に貢献する重要な問題について協議する。これまでに在日米軍再編、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)、共通戦略目標などについて合意・確認が行われてきた。2+2 (ツープラスツー) 。SCC(Japan-U.S. Security Consultative Committee)。 [補説]安全保障問題に関する日米政府間の主な協議の場として、ほかに日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)、防衛協力小委員会(SDC)、日米合同委員会がある。
にちべいあんぽじょうやく【日米安保条約】
《「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」の通称》⇒日米安全保障条約
にちべいあんぜんほしょうこうきゅうじむレベルきょうぎ【日米安全保障高級事務レベル協議】
日本と米国の相互にとって関心のある安全保障上の諸問題について、両国の次官・局長級の要人が意見を交換する場。参加者は厳密に定めてられていないが、日本から外務省北米局長・防衛省防衛政策局長、米国から国務次官補・国防次官補などが参加する。SSC(Security Subcommittee)。→日米安全保障協議委員会