・・・劇場建築が旧式で小さいということだ。昔はそれでもよかっただろう。金のある者だけ見たんだからね。現在じゃこまる。出来るだけ大勢の労働者に芸術をわかち、出来るだけ一枚ずつの切符の値段は下げなければならない。劇場の建物がこの目的とは逆につくられて・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 日本の婦人デーを三月八日から四月十日にきめようとして新聞の世論調査を動員し、旧式な反民主的な婦人運動者たちまでを動員した政府は、世界平和大会やアジア婦人大会への代表の旅券は与えないで、おかいどりを着た田中絹代のために許可を与えたり、陸・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・社会の一般文化の現実が比較的貧寒であって、科学の諸分野そのものの到達点、そのものの理解、利用面が十分柔軟寛闊に開拓されておらず、同時に所謂科学というものが、旧式の考えかたで、そこに作用する人間性を全く排除しているため、勢い科学と文学との手近・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・そしてロシアの進歩的な若い娘が旧式な親たちの望まない知識と社会的自由を手に入れる特別な方法として選んだ名義だけの理想結婚をして、ドイツへ行き、この頃はハイデルベルヒ大学やベルリンで数学の勉強をしていた。 又、彼女が「野獣」と呼ぶようにし・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫