・・・ 昼餐の時は其でよかった。けれども、もっと皿数の多い、従ってもっと楽しかるべき晩食になると、彼は殆ど精神的な疲労さえ覚えた、猶悪いことには生憎これが降誕祭の晩ではないか。 縞の小さいエプロンをかけた彼女が食器を積んだ大盆を抱えて不本・・・ 宮本百合子 「或る日」
・・・日曜は十一時頃から教会に行き、昼餐は料理店ですませて市外の公園にゴルフをしに行ったり夫婦で夕暮まで郊外の野道を植物採集に逍遙する。 家に帰って空腹に美味な晩食をとり、湯を浴び、熟睡して、更に新鮮な月曜日を迎えるのです。 勿論、右のよ・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・然し、三人で、落付いた昼餐をし、立ち入らない話をする間に、自分は彼女の和らいだ心を、まざまざと感じた。それが、不安になり、不自然を覚え始めた自分の心にも、云い難い安息、流れると自覚し得ない程、身についたヒーリング・ウォーターとなって滲み通っ・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
松林、鎧戸を閉したヴィラの間を通って Hotel Hajek の庭 日覆の下の卓で昼餐。地酒の冷した白葡萄酒、鮎に似た魚、野鴨の雛、美味いライス、プディングをたべた。 小さい門、リラの茂、薄黄色模様の絹の布団、ジャケツ・・・ 宮本百合子 「無題(八)」
出典:青空文庫