・・・彼の法華経のための殉教の気魄は最高潮に達していた。「幸なる哉、法華経のために身を捨てんことよ。臭き頭をはなたれば、沙に金を振替へ、石に玉をあきなへるが如し。」 彼は刑場におもむく前、鎌倉の市中を馬に乗せられて、引き回されたとき、若宮・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・が執筆され始めたのは昭和四年、新しい文学の波の最高潮に達した時期であった。明治のロマンティック時代から作家生活を辿って来たこの粘り強い小説家が、云って見れば彼をもその波の下に置こうとするような時代の激しさに向い立って、勇猛心を動かされ、歴史・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・それは、インドにおける彼女の影響が最高潮にあったとき、ナイチンゲールがクリミヤの経験をどこまでも固執して、炎熱の激しいインドの病院でも、病室の窓々は開放されていなければならないと強硬に主張したために大恐慌を来したという事実である。「彼女の生・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
出典:青空文庫