・・・ 父親の波多江さんが、愛子を解剖に付したことはこの際極めて有意義であったと思う。金一君の死が世人に与えた教訓は、その解剖の結果親の心得べき科学の知識で裏づけられた。 どちらかと云えば例外なこの事件だけれども、世の父母たちは多くのこと・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・年中有意義無意義に繁忙で、本を読む時間も沈思する時間も持たない日常のひとたちは、全くたまの休みには家へかえって本でも読むのが最上のことである。 学生という夥しい青年たちの質は実にピンからキリまでであるから、なかには勿論下らない者もいるだ・・・ 宮本百合子 「「健やかさ」とは」
・・・そうとしてみれば、時局におし流されない薄弱でないものは総てそれなりで女性の向上のために有意義なものとも云えないことは明らかです。それらの生きた関係も十分心が配られ判断が加えられて初めてよい情熱が女の生活を推しすすめてゆくのだと思われます。・・・ 宮本百合子 「ルポルタージュの読後感」
・・・これはあの講義の事実的内容よりもはるかに有意義なことであったと思う。 先生の講義が右のごとく我々を動かしたのは、先生が単に美術品についての事実的知識を伝えるにとどまらずして、さらにそれらの美術品を見る視点を我々に与え、美術品の味わい方を・・・ 和辻哲郎 「岡倉先生の思い出」
出典:青空文庫