・・・より若い世代の誇りとしてその感情は自分にも肯定されているのだけれど、実際として、さて、ではどういう生活をしたいか、という具体的な問題に入って来ると、そこにはまた愕くばかりに沢山の未解決なものがある。自分ひとりだけではどうにもしようのないこと・・・ 宮本百合子 「家庭創造の情熱」
・・・ここには第一次大戦後の世界デモクラシー時代から提唱されていまだに未解決な課題が再びとりあげられているとともに、アメリカを民主国家として知る世界のすべての人にとって、それが存在し得ていることを不審に思わせていたいくつかの民主的と見えない法規へ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・昨今人々の耳目をゆるがしている牛込の産婆の嬰児殺しも、この未解決な社会問題にからんでいる。民主主義保育連盟が子供の生きてゆける場所の建設について、具体的に動こうとしはじめていることの必然が、はっきりここに示されている。 暮から東京裁判は・・・ 宮本百合子 「砂糖・健忘症」
・・・戦争による未亡人の生活の堂々めぐりのいたましさは、実に多くこういう急所が未解決な今日の社会事情からもたらされている。内職では食べてゆけない。内職では決して食べてゆけないのに、その内職がなければ一層窮迫する程度の賃銀しか支払わないのが、いまの・・・ 宮本百合子 「離婚について」
出典:青空文庫