・・・三年になると、本科生は書庫の中に入って書物を検索することができたが、選科生には無論そんなことは許されなかった。それから僻目かも知れないが、先生を訪問しても、先生によっては閾が高いように思われた。私は少し前まで、高校で一緒にいた同窓生と、忽ち・・・ 西田幾多郎 「明治二十四、五年頃の東京文科大学選科」
・・・大正十年ごろ、美術学校や早大慶大が女子本科生入学許可の方針をきめたが、それは却下された。早大が昨年やっと正科に女生徒を入れるようになった。 日本の女子にとっては、一層必要とされている経済や法律思想は、現在一般の婦人の常識と日常生活のうち・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・大学の本科生となる。学資欠乏し、郷里の大塚氏より十ヵ月間恩借。 一九一五年。大学卒業。井上正夫を浅草に出演せしむる橋渡しをする。同一座の作者となったが、二月目に意見の衝突をして飛び出し、その暮、秋月、川上、喜多村一座の作者となり、舞台監・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫