かくぶつ-ちち【格物致知】
物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深め得ること。『大学』から出た語で、大きく分けて二説ある。宋そうの朱熹しゅきは出典を「知を致いたすは物に格いたるに在り」と読んで、自己の知識を最大に広めるには、それぞれの客観的な事物に即してその道理を極めることが先決であると解釈する。一方、明みんの王守仁おうしゅじん(王陽明)は「知を致すは物を格ただすに在り」と読んで、生まれつき備わっている良知を明らかにして、天理を悟ることが、すなわち自己の意思が発現した日常の万事の善悪を正すことであると解釈している。他にも諸説ある。▽「致知格物ちちかくぶつ」ともいう。
- 出典
- 『大学だいがく』「知を致すは物に格いたるに(物を格ただすに)在り」
- 句例
- 格物致知の道をきわめる
- 用例
- 古人の誠意を以もって徳行の本となし、格物致知以て選択の力を極めて、事理当然の地に止まらんと欲する。<伊沢修二・教育学>
- 類語
- 格物究理かくぶつきゅうり 格物窮理かくぶつきゅうり